怒られる男の日記

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タイムトラベルものを分類してみる

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こちらの記事を拝見しました。

あえて、似たように見えるタイムトラベルものを分類してみるというのも面白いのではないかと思った次第です。

実は、以前別のブログで書いた内容の焼き直しなんですけどね。

 

 

山本式と新城式

これには先行研究があって、まずは山本弘さんが「トンデモ本?違う、SFだ!」で試みた分類法です。 

トンデモ本?違う、SFだ!

トンデモ本?違う、SFだ!

 

1.循環型
2.変更型
3.分岐型
4.その他

以上の4パターンですね。

 

そして、新城カズマさんがサマー/タイム/トラベラーで行った方式

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)

 

改変型
1.個人的な過去をやりなおそうとする話
過去に戻り、より良い人生を生きようとする話
 1b.やりなおしそこねて、ひどい目に遭う話
2.文明規模で過去をやりなおそうとする話
 2b.やりなおしそこねて、ひどい目に遭う話
3.未来から、現在を変えるべくやってくる話(逆転的改変)
 3b.やりなおしそこねて、ひどい目に遭う話
非改変型
1.パラドックスの矛盾を回避する話
2.パラレルワールドもの
3.未来へ赴く話
その他
異なる時間が出会う話
改変を伴わない追憶と悔恨の話

 

複雑ですけど、なんとなく言いたいことはわかりますよね。山本さんは、パラドックスをどうやって回避するかという観点で分類し、新城さんは物語の構造に着目して分類したという違いがありますが、大体似たような分け方になっていると思います。

次から、上記を踏まえての自分流分類法になります。

 

1.改変あり・パラドックス回避型

これは、歴史改変が発生しうるタイプの物語で、パラドックスが起きてしまうかもしれないんだけど、なんらかの方法で回避しているタイプの話です。

 

時空の弾力性による回避

 

これは、ざっくりいうと、時空そのものにパラドックスを回避する性質が備わっていて、少々過去を改変しても、致命的な齟齬が起きないように調整されるという考え方です。平たく言うと、のび太ジャイ子と結婚してもしずちゃんと結婚しても、将来セワシが生まれることには変わりないということです。 

 

 

タイムパトロールによる回避

これは、タイムパトロールその他の名称で呼ばれる組織ないし個人が、致命的な歴史改変が起きないように守っているというパターンです。 

藤子・F・不二雄大全集 T・Pぼん 1: 藤子・F・不二雄大全集 第3期

藤子・F・不二雄大全集 T・Pぼん 1: 藤子・F・不二雄大全集 第3期

 

タイムパトロールが任務に失敗したらどうするの?っていうのがあるんですが、結局その場合は大事に至らずラッキー、みたいになります。何度も過去に戻って任務をやり直すのは禁じ手になってることが多いですね。

長谷川裕一さんのクロノアイズでは、この矛盾を逆手にとって、タイムパトロールが必死に歴史を守っていたはずが、実は…という大逆転を見せます。 

クロノアイズ 1巻

クロノアイズ 1巻

 

 

 

2.改変あり・パラドックスなし型

ここでは、タイムパラドックスを物語上の設定によって起きないものとしている物語をあげます。おそらく、タイムトラベルものでは一番よくあるパターンではないでしょうか。

パラドックス?なにそれおいしいの?

タイムパラドックスの可能性を初めから考慮に入れていないタイプ。物語の都合上意図的に無視していることもあるし、作者があんまり考えてないな、というものもありそうです。 

古今東西一番有名なタイムトラベル映画と言えばBTTFかと思いますが、過去でかなりのことをやらかしてますよね。第1作では、自分の存在が消える…みたいな展開になっていたけど、もし自分の存在が消えたらそもそも自分は過去に来ないわけで、あれれ?みたいに考えず、勢いで押し切る感じで。某大ヒットアニメ映画もこのカテゴリーだと思うのですが、やはりパラドックスがどうこうとか細かいことをいうより、俺は過去を変える!ぐらいの勢いのほうが大ヒットにつながるということなんでしょう。

 

循環する運命 

 

過去を改変したつもりが、それこそが予定された歴史だった、というタイプ。オチがきれいにつけられるので、中短編では一番多いパターンでしょう。

 

 

輪廻の蛇 (ハヤカワ文庫SF)

輪廻の蛇 (ハヤカワ文庫SF)

 

 この究極系が、ハインラインの中編「輪廻の蛇」及びその映画版「プリデスティネーション」。そこまでするか?っていうくらい、すべてが一本の線に収束する展開に唖然とさせられます。 

 サマータイムマシンブルースも、いろいろあって最後は伏線が回収されるタイプの映画でした。

 

 

行き先指定のタイムトラベル

タイムトラベルで行ける先が決まっていて、致命的な歴史改変が起きないようになっているパターンです。 

時間ものの名作で必ず名前のあがるバタフライエフェクトは、子どもの頃の日記を読むことで、該当ページの時間に跳ぶことができます。 日記がトリガーなので、当然ながら自分が生まれていない時代などにはいけません。エンディングは劇場公開版が一番好き。

 アバウト・タイムのタイムトラベル能力は、自分が行ったことのあるところにしかいけません。終盤ではもう一つの制限が明らかになり、感動のドラマにつながっていきます。 タイムトラベルができることで、今の大切さに気がつく…なんていうと陳腐なようですが、そのテーマを正面突破で描ききったすばらしい映画です。 

 

 

 

平行または分岐世界

過去を改変したつもりでも、実は平行世界に移っただけとか、改変した時点で新しい歴史が生まれ、もとの歴史はそのまま続いていくというパターン。

一番わかりやすいのは、ドラゴンボールで、未来トランクスが悟空たちと協力してセルを倒すんだけど、結局自分は荒廃した未来に帰っていくみたいなやつです。 

ボトルネック (新潮文庫)

ボトルネック (新潮文庫)

 

時間ものっていうわけではないですが、米澤穂信さんのボトルネックは、パラレルワールドに行ってしまった主人公が、自分の世界では生まれなかったはずの姉に合う話です。 自分がいない世界は、全てがうまくまわっている。そんな鬱小説。

パララバは、平行世界に生きる恋人同士が、自分たちを殺した犯人を捜すために協力する話。二つの世界はどこで枝分かれしたのかがポイントになっています。 

パラレル同窓会 (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)

パラレル同窓会 (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)

 

藤子・F・不二雄さんのパラレル同窓会は、平行世界に暮らす自分同士が集まって同窓会をする話。様々な職業についていたり、成功者や落伍者などいろいろな自分が登場します。

 

情報のタイムトラベル

人間本体ではなく、情報だけが時間を越えるタイプの物語。情報を過去に伝えて過去が変わったとしても、現在からは全てが終わったあとの「結果」しか見えず、必然的にそれが正史となるわけです。 

 オーロラの見える夜、30年前に殉職した父と形見の無線機でつながった主人公が、父の死を回避しようとする感動作。 

先日までやっていたドラマ「シグナル」も、時を超えてつながった無線機を通じ、過去と現在の刑事が事件の謎を追う話でした。最終回ではかなり豪快に現在が塗り替えられていたので「??」となりましたが… 

ゲイルズバーグの春を愛す (ハヤカワ文庫 FT 26)

ゲイルズバーグの春を愛す (ハヤカワ文庫 FT 26)

 

 この短編集に入っている「愛の手紙」は、古道具屋で買った机の隠し戸棚を通じて、時を越えた文通をする男女の話。これ、大好きなんですよね。時空を越えてすることが文通って、なんか素敵じゃないですか?ところで、すぐ下の項目であげている「サマー/タイム/トラベラー」の2巻の表紙で、女の子が着ている浴衣の柄はこの「ゲイルズバーグ」の表紙になっているんですよ。だからなんだって話ですが、つまりは時間SF好きな人は要チェックな1冊なんです。

 

 

3.改変不可能型

最後に、タイムトラベルの性質上、過去を改変しようにも出来ないタイプ。まあ、これも多種多彩で一個にまとめていいのかはなはだ疑問ではありますが。

 

一方通行のタイムトラベル

過去に行ったきり、未来に行ったきりならパラドックスもなにもありません。このタイプは、帰ってこれるのかな、これないのかな、というところで興味を引く話が多いので紹介しにくいですが、冒頭にも挙げた「サマー/タイム/トラベラー」は未来への一方通行のタイムトラベルものです。 

サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)

サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)

 

 

 

早送り、スロー、巻き戻し 

一般的にタイムトラベルものは、パッと消えて過去や未来に行くイメージですが、他者と違う時間軸を生きているゆえに、結果としてタイムトラベルになってしまうというパターンがあります。 

海を見る人 (ハヤカワ文庫 JA)

海を見る人 (ハヤカワ文庫 JA)

 

「海を見る人」と、「むかし、爆弾がおちてきて(ある日、爆弾がおちてきてに収録)」は、極端に遅い時間を生きる女性と普通の時間を生きる男性の恋物語です。 

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

 

ぼくは明日、昨日のきみとデートする」も異なる時間軸を生きる男女の恋愛もの。このタイプの話は恋愛と相性が良いのでしょう。まず確実に悲恋ものになりますが…。

 

リプレイ(リピート)もの

これはもう傑作の宝庫ですよね。同じ時間を何度も繰り返して、ループから抜け出そうとしたり、なんらかのミッションを達成しようとするもの。 最終的に選んだルートが正史になります。

リプレイ (新潮文庫)

リプレイ (新潮文庫)

 

基本はこれ。グリムウッドのリプレイ。毎回同じ年齢で死んでは人生をやり直す男の話です。 地味だけど面白い。

新装版 七回死んだ男 (講談社文庫)

新装版 七回死んだ男 (講談社文庫)

 

ミステリの傑作。時間反復にはまってしまった主人公が、何度も死にながら、殺人事件を防ごうとする話。 この結末は絶対に予想できない(多分)。

死者の脳に残された記憶から最後の8分間を追体験し、その限られた時間の中で列車爆破テロ犯を捕まえようとする話。終盤の展開が神すぎます。

 

All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)

All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)

 

オール・ユー・ニード・イズ・キルは原作とトム・クルーズ版両方見てほしい。

リピートものには、そのほか傑作がたくさんです。

 

エンドレスエイト? うっ、頭が… 

 

シャッフルもの

順不同に時間を行ったりきたりするタイプ。同じ時間を繰り返さないのがポイント。 

 原点にして頂点。意識だけが跳ぶタイム・リープの話。謎、論理、解決全てが完璧。

 

シャッフル [DVD]

シャッフル [DVD]

 

 一週間をバラバラに体験する女性が、夫の死を回避するために奮闘する話です。あまり覚えてない。すいません。

 

記憶もの

記憶を題材にした作品も傑作がたくさんあります。記憶が飛んだり、戻ったり…当人からするとタイムトラベルみたいなものですよね。 

メメント [Blu-ray]

メメント [Blu-ray]

 

10分しか記憶が保てない男が、妻を殺した犯人を追う話。時間が未来から過去へと遡っていく構成が特徴的。自分すら信用できない悪夢の追跡劇。偽のメッセージにだまされるな。  

  日本でリメイクされる50回目のファースト・キス。同じ一日を繰り返し生きる記憶障害の女性とのラブストーリー。ハワイを舞台にした、明るくて前向きな異色の記憶障害もの。

 

おわりに

こんな感じで分類してみました。まあ、実際には必ずどれか一つに当てはまるわけでもないし、もれているものもあると思いますが、一見似たり寄ったりに見えるタイムトラベルものも、こんな色々なパターンがあるよ、ということで見ていただければ幸いです。

読んでいただきありがとうございました。